季語は「葡萄」 秋
「黒葡萄」が日に日に黒く色を増してゆく様子を「色惜しみつつ」と表現した。
葡萄を作る人の、葡萄のひと房ひと房、ひと粒ひと粒を愛しむ気持ちがこめられている。
私の家は昔葡萄を作っていて、子供のころは家の玄関まで葡萄棚があって、この季節になると黒葡萄が豊かに稔った。父、直人も一生懸命作っていた。
実際に葡萄を作っている人だからこその句である。
黒葡萄は、朝晩の冷え込み、つまり寒暖差があってこそ色が来るのだ。温暖化で農家は困っているという。
最近、言葉が先行する句、言葉遊びの句、バーチャルで作る句が多く、こういう、本物の自然と一体化した俳句が少なくった。
写真は、高校の友だちからのいただき物です。
その友人の勝沼の実家は今も葡萄棚に囲まれているそうです。