季語は「秋たつ(立秋)」
立秋のころになると、谷川の瀬(流れが速く水深が浅いところ)にも風の音がまじって聞こえる。という句意です。川の音を毎日聞いているからこその感性と表現力だと思います。
春めきてものの果てなる空の色
炎天を槍のごとくに涼気すぐ
いち早く日暮るる蟬の鳴きにけり
芋の露連山影をただしうす
をりとりてはらりとおもきすすきかな
くろがねの秋の風鈴鳴りにけり
飯田蛇笏は終生山梨県の境川に暮らし、俳人として、自然を風土を格調高く詠い上げています。現代の俳句が忘れてしまったかのような雄大な自然詠です。
今年の立秋は八月七日でした。猛暑の中にも、朝夕の風には涼しさが感じられます。
川瀬の音、風の音が聞こえるでしょうか。