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2024.05.28

今日の季語と俳句「葛餅」夏 <葛餅や遠くなるほど雲眩し> 廣瀬直人

『風の空』所収 平成十七年(2005年)作

 

「葛餅や」が郷愁を誘う

 

透明でぷるぷるとして冷えた食感が誠に夏である

甘い黒蜜ときな粉が絶妙な味わいを醸す

 

 「冷やしといたからね」と言って、この季節になると、葛餅を出してくれたおばあちゃんの笑う顔を思いだす

 

掲句は鑑賞にもある通り、葛餅と雲の結びつきが絶妙

葛餅から雲を想像したか、雲から葛餅を想像したか

 

良く見て感じて創っている

「遠くなるほど雲眩し」は直人の主観。見事な描写力だ

いや直人の心眼がとらえた客観描写とも言える

 

季語から思い切って飛躍する詩性が直人俳句の本質

直人はこのことを「付かず離れず」「離れて戻る心」と言っていた

 

葛餅が無性に食べたくなった

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